立地は最高ながら廃墟のようなビル再生工事


今回の施工事例は商業ビルです。新大久保に近く線路沿いの立地は最高の物件なのですが、ちょっと問題ありです。ご覧のように壁は落書きだらけ。2階から上は壁が剥落してくるため、おそらく行政がネットを取り付けたのだと思われます。


奇麗にする前に補修が大変な建物ですが、再生できればかなり収益性の高い物件になると思われます。
頑張って進めていきましょう!
廃墟寸前のビル内部

前所有者は住居として使用
立地は商業地域ですが、以前はお住まいになっいたようです。

テナント向けのビルにリノベーションするために内装はすべて解体撤去していきます

階段とトイレを残してすべて撤去した結果、いろいろと損傷個所があらわになってきました。

下町のアパート的な風情が残る内部です


深刻な内部損傷
長年の漏水の結果
構造体の鉄骨に屋上から漏水した雨水がかかり錆が発生しています。
何とか形を保っているような状態です。
補助的な役割の鉄骨は
こちらは腐食が進行して溶けてしまっていますね。
外壁の下地鋼板にも錆が進行してモルタルが露出しています。
室内に土?ではないです
錆びた鉄骨が崩れて粉になって床に散乱しています。
これらは内装を撤去したので確認できたわけです。
では、屋上はどうなっているのか?
鉄製の支柱は根元から崩れ・・・
結構な太さの支柱ですが錆が進行して根元から折れています

果たして直るのか?不安になってきましたが進めていきます

モルタル防水のような見た目のシート防水
見た目はモルタルですが実際はシート防水の最終形態です。もちろん防水機能はありません
上 平場のシートをめくると湿っています
左 端のシートを少しめくると恐ろしいひび割れが現れます 草も生えてますね
エポキシ樹脂を駆使した壁の固定
解体して分かったことは、外壁が鋼板の上にモルタルを塗った薄壁であるということ。モルタルに厚みがないのでクラックも発生しやすかったのではないかと想像できます。一番怖いのはモルタルの剥落事故です。通りに面している2面は朝から夜遅くまで通行人が多く、重大な事故になりかねませんので、防護ネットを外す前に可能な限りエポキシ樹脂で固定していきます。
手探りの注入作業
エポキシ材料 1
粘度の異なるエポキシ樹脂を複数用意して補修をします。
粘度の高い樹脂で埋めた後に注入するなど苦労しています

エポキシ材料 2
固まれば強度が出るところがコーキングとは異なるところです。
屋上のひび割れにも注入しました


シリンダー工法による注入
正直言って手探りの作業です。コンクリートの建物であればこれでよいのですが、鋼板側で腐食や穴あきがあって樹脂が漏れてしまった個所もありました
狭くて外から作業ができない面は内側から穿孔して注入
床が抜けるなんて!

上の写真は3階の床裏 2階の天井部分の鉄骨です
3階を施工中に脚立の足が床を突き抜けました。縦にぶら下がっているのが腐食した鉄骨です。雨漏りの水が3階の床にたまり、床裏の鉄骨を腐食させたようですね。

補強材を入れて溶接補修となりました
想定外の作業の連続です。鋼材を手配して、溶接機を持ってきて、なんとか復旧しました。